2009年8月アーカイブ

プラトニック?

最近たまたま並行して読んでいた二つの本で、両方ともプラトンを悪者扱いしていた。一冊目は「いたこニーチェ」である。アマゾンの紹介文では以下のように書かれている。


いたこニーチェいたこニーチェ
(2009/02/20)
適菜 収

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「人生含み損を抱えたさえないサラリーマン吉田武昭の前にある日突然、ニーチェがいたこに乗り移って表れる。ニーチェ先生によれば「お前は悪しきキリスト教主義を広めたプラトンやカントの末裔。このままだと世界は滅茶苦茶になる。よってこの負のスパイラルを断ち切るためにやってきた」。最初はマユツバで話を聞いている主人公だが、話を聞くうちに、現代社会が抱える矛盾や歪みに気が付き始め…。ニーチェがざっくりわかると今の時代が見えてくる! 笑って学ぶプチ哲学小説」

まあ、もともとニーチェが好きだったんで以前からこの本は気になってはいたのだけど、たまたま先日久しぶりに書店にいったときにやっと購入した。内容はそれほど面白いわけでもなかったけど、以下のもう一冊の本でもプラトン的なものをこき下ろしていてこれと同時並行で読んだことで面白意味は倍増した。


ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質
(2009/06/19)
ナシーム・ニコラス・タレブ

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ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質
(2009/06/19)
ナシーム・ニコラス・タレブ

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「むかし西洋では、白鳥と言えば白いものと決まっていた。そのことを疑う者など一人もいなかった。ところがオーストラリア大陸の発見によって、かの地には黒い白鳥がいることがわかった。白鳥は白いという常識は、この新しい発見によって覆ってしまった。
「ブラック・スワン」とは、この逸話に由来する。つまり、ほとんどありえない事象、誰も予想しなかった事象の意味である。タレブによれば、「ブラック・スワン」には三つの特徴がある。一つは予測できないこと。二つ目は非常に強いインパクトをもたらすこと。そして三つ目は、いったん起きてしまうと、いかにもそれらしい説明がなされ、実際よりも偶然には見えなくなったり、最初からわかっていたような気にさせられたりすることだ」

ブラックスワンの方は、かなり話題になった著作なので知っている人も多いと思う。
最近の傾向として、ものごとは本来単純であるから、考え方も行動もシンプルな方が「よい」とするような態度がある。そういった時に、自分の頭をチラっとよぎる「本当にそうかな」という思いの理由が、ブラックスワンを読むことでとてもすっきりと整理できた気がする。この「シンプルさ」はプラトン的なものの象徴だ。なんとなく自分が感じるのは「シンプルさが重要な時もあるけど、そうじゃないときだってあるだろう?」っていうことだ。たとえば、頭の良い人が物事を説明すあるがままをると、難しいことでも優しく説明できる、というよく言われることも、「ある種の複雑なものは複雑にしか理解できない」と思ったりする。

プラトン的なものは、世の中には現実世界とは一線を画する一種の理想があると思いこむことから始まる。それは一種の便法であるはずなのに、いつの間にか「人は理想がないと生きていけない」といったような本末転倒に陥ったりする。たとえばその理想とは「人間はいつか世界のすべてを理解できる」ということだったり、「人類はいつかひとつの共同体に統一されるべきだし、その方向に向かっている」ということだったりする。

もしかしたら、そういった理想が実現することがあるかもしれない。でも、それはそれを目指したからではなく、それがあるべき姿だから、たまたま実現したにすぎない、っていうことが実態に近いんじゃないか、と思う。我々が今現在知っていることは、われわれが思っているほど多くはないのだ、とブラックスワンは教えてくれる。


Author:渡辺健堂
1971年生 北海道出身 北海道大学法学部卒
卒業後、㈱日本長期信用銀行入行。コーポレートファイナンス業務、マーケット部門でミドルオフィス業務に従事。その後、ベンチャー企業を経て2000年にヘッドハンティング会社の設立に参画。2002年に同社代表取締役社長に就任。投資ファンドにおける投資先経営陣確保の重要性に着目、幅広い業界の経営者候補との強いパイプラインを築く。
2006年㈱エグゼクティブ・ボードの立上げに参画、主に金融の他、事業開発、事業企画などを得意とし、経営者発掘と投資ビジネスの融合を模索している。

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