2008年9月アーカイブ

構造的に不要な存在

先日、ある専門職大学院にて講演をする機会があった。その専門職は近年大きな制度改革を行ったことにより、サービスの供給量が増えることが見込まれているが、需要がそれほど存在するのかどうかという点はいまだ未解決なままになっている。その結果、もともと大変ステータスの高い職業であったものが、表面上の需要不足ということから「人余り」の様相となっており、業界としての取り組みを進めていかなくてはいけない状況にある。

そのような中、キャリアプランニングをどのように考えるべきかというのが与えられたお題だったわけだが、講演の冒頭に自己紹介をする中で僕が最初の銀行に入社した1995年当時と日本の銀行の数の激減と、その結果として金融ビジネスの多様化における大きな供給源にその現行の破たんが結果としてつながった話をした。
もともと最初の銀行は長期信用銀行という資金不足の時代に資金需要の大きな企業部門への長期的で安定した資金を供給するというのが役割だったわけだが、すでに1980年代半ばより企業部門における資金量は十分蓄積されていた。その時点で本来役割を終えていたはずだが、組織の自己保存機能から生きながらえてしまったといえる。

このことから自分なりに感じることは、本来のその産業なり、サービスが、構造的に需要が欠乏した状況に置かれた場合、遅かれ早かれその組織は消滅する、ということだ。
このことから、社会や経済の大きな枠組みの変化を読み取り、先んじて「需要が発生しそうな領域」に自分の人生のベクトルを合わせておく必要性を感じる。

そのような話をしたつもりだったが、どれほど理解されているかは不明であった。まあ、こちらの説明力不足というのも多分にあるとは思う。でも、終身雇用や年功序列といった日本特有の慣行にしても成立したのはたかだか戦後60年の話だ。今回のリーマンの破たん劇などにも通じるが、自分の頭で考えて仮説を立てて、微調整をしてくようなスタイルのほうが、相対的にリスクの少ない生き方であるような時代だと思うし、その方向性は当分変わらないような気がする。

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バイアウトファンドの出自と実力

最近、企業再生や事業再生を主たる業務とするファンドやコンサルの実力について話をしたときに、「なるほど」と膝を叩くことがあった。投資・金融のスキームやストラクチャーに関する能力を仮にフィナンシャル・スキルと呼び、投資先の会社の事業を経営・運営する能力をオペレーショナル・スキルと呼ぶとしよう。現在いろいろなファンド・コンサルが存在しているが、その企業の代表・創設者がどちらのスキルを中心としたキャリアかということは実績を出しているかどうかが相関をもつのではないか、という仮説だ。

Aタイプ…フィナンシャル・スキルが最初にあり、チーム組成の過程でオペレーショナル・スキルを補完
Bタイプ…Aタイプの逆。主にオペレーショナル・スキルで、フィナンシャルスキルを補完
Cタイプ…最初からAとBの両方がバランスよく備わっている

Cタイプはほとんどない。最近いくつかのファンドで意識しているチームアップを見ることがあるが稀である。では、AタイプとBタイプ、どちらが結果を出しているのだろうか?仮説ではあるが、どうもAタイプの方がうまくいっているのではないかと思っている。

仮説だが、以下のようなことではないかと思う。
オペレーション・スキルが中心である場合、往々にして「思い」が先行しているような場合が多い。これは一見、日本的な社会では受けはいい。しかし、実際バイアウトのような複雑なディールを実行していくにおいて過剰な思い入れは投資判断をゆがませる。
簡単にいえば、投資判断がゆがむと、対象事業を高く買いすぎてしまい、結局その事業の運営をしていく段階で破たんするのでないだろうか?
こんな単純ではないにしても、投資の際のストラクチャーが適切なものでない場合、バリューアップの段階で無理な施策を打たなくてはならない破目に陥る。結局そうした過剰な思い入れによる不適切なストラクチャーは、本来その思いが向かっていたはずの組織や人材、ひいては事業そのものを棄損するのである。

まあ、すべてがそうではないのかも知れないのだけど、スキルだけで志のない経営は論外だけれども、志はあってもスキルのなさに無自覚である経営は表面上真っ当に見えるだけにより手に負えない事態を引き起こす、ということかなと勝手に思っている。

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Author:渡辺健堂
1971年生 北海道出身 北海道大学法学部卒
卒業後、㈱日本長期信用銀行入行。コーポレートファイナンス業務、マーケット部門でミドルオフィス業務に従事。その後、ベンチャー企業を経て2000年にヘッドハンティング会社の設立に参画。2002年に同社代表取締役社長に就任。投資ファンドにおける投資先経営陣確保の重要性に着目、幅広い業界の経営者候補との強いパイプラインを築く。
2006年㈱エグゼクティブ・ボードの立上げに参画、主に金融の他、事業開発、事業企画などを得意とし、経営者発掘と投資ビジネスの融合を模索している。

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