2008年7月アーカイブ

自己認知と事業目的

事業の目的はいろいろある。大抵の事業家はその目的を実現するために頑張るのだと思う。けれども、もしその事業の目的遂行のために一番邪魔であるのが他ならぬ自分であるという場合、いろいろ面倒なことが起こる。まず、そのことに本人が気づけるかどうかという点。最近思うのだが、自己認知というのは本当に難しい。「自己認知なんて出来ているのが当たり前だよ」なんていう人が一番できていない。

でも事業家、経営者なんてのは、そもそも狂信者でないとできないという説もあるので、必ずしも事業目的を完遂することは実は彼らにとって関心問題ではなく、結局のところ自己の欲求を満たすことが大事なのかもしれない。だとすると、社会に価値を生むというのは、実は結果論であって、ひたすら自己の欲求に忠実に行動していった結果、社会に便益をもたらした、という見方がしっくりくる。アップルのスティーブ・ジョブスが「自分の欲しい製品を作っているだけ」と嘯くのと相通ずるかもしれない。

で、最初の話に戻ると、経営者自身が事業のボトルネックであると理解したとするならば、今度はその自分を自分で排除することができるかどうか、ということになる。
薄々自分がもはや事業の器にフィットしていないと感じたとしても、事業への愛着とか、自分のプライドとか、そういったものを自分で認識しつつも事業のために自らの首を切る、というようなことができる人って本当に少ないような気がする。

新興市場には、リビングデッドみたいな会社がごろごろしているわけだが、これもやはり単一の製品やサービスがうまく当たったのだけど、結果的にそれは「事業」ではなく、一ビジネスアイディアに過ぎないものを会社とよび、株式という形で市場に流通させてしまった結果であろう。もしこのような会社で、経営者(兼オーナー)が自分の能力を冷静に見極めて、ほかの人に任せるということが一般的になれば、能力のある個人が経営者として活躍するフィールドが増えるに違いない。

いずれにしても、そんな大それた話ではなく、常に自分の能力を冷静に見極めて、かつその認識をアップデートし続ける努力をするというのは、大切なことながらなかなか出来る人がいないなあ、と最近思うわけである。

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Author:渡辺健堂
1971年生 北海道出身 北海道大学法学部卒
卒業後、㈱日本長期信用銀行入行。コーポレートファイナンス業務、マーケット部門でミドルオフィス業務に従事。その後、ベンチャー企業を経て2000年にヘッドハンティング会社の設立に参画。2002年に同社代表取締役社長に就任。投資ファンドにおける投資先経営陣確保の重要性に着目、幅広い業界の経営者候補との強いパイプラインを築く。
2006年㈱エグゼクティブ・ボードの立上げに参画、主に金融の他、事業開発、事業企画などを得意とし、経営者発掘と投資ビジネスの融合を模索している。

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