2007年9月アーカイブ

価値について

もともと金融からキャリアをスタートしたこともあって、「市場価値のある人材」などというスローガンを見るとどうしても違和感を感じてしまう。
市場=マーケットとは、僕の個人的な感触でいうと、一定以上の流動性を供給するための仕組みであるということと、需給に基づいたプライシングがされること、などが特徴であると思う。では、人材というものにそもそも市場はあるのだろうか?
確かに転職ということが以前よりもかなり一般化したことは事実だろう。それは流動性の増加ということと同義であり、その意味では条件の一部は満たしていると思う。しかし、プライシング、という側面ではどうだろうか?
もし、「市場」によるプライシングを「年収」と同義だとするならば(かつ、多くの場合、人材の市場価値ということそのことをさすように思われるが)、あまりにも歪みが大きすぎて、市場の失敗だとか言う言い訳では決して看過できない状況だと多くの人が感じるのではないだろうか?

年収をあげようと思ったら、まず所属する業界を変えることを考えたほうが手っ取り早い。金融業界では、30歳前後でサラリーとして数千万円の年収を獲得することは可能だが、他の多くの業界ではそれは困難だ。誤解しないでほしいが、私は収入がすべてだといいたいわけではない。
もし「人材の市場価値」というものが、年収で測定されるならば、それは市場と呼べるようなものであるはずがないという確信を述べているのだ。たぶん誤解のもとは「市場」ということばの響きによるのではないか?
「人材の価値」あるいは「価値のある人材」というのなら、違和感はない。それは、年収などという単純なものさしではかれるものではないと直感できるからだ。

人材の価値発揮は、その人の能力も重要だが、与えられた環境や、もっと言えば運による部分などがかなり大きいと思う。そして、その人にとっての適切な環境というのは、その人によって違っていて、だから「適材適所」という言葉(これは我々のグループが目指すコンセプトの一つである)があるのだと思う。そして、その「適材適所」という言葉は、決して「一人ひとりがOnly Oneであろう!」などという甘ったれた話ではなく、強い自己の使命感と社会に対する責任に裏打ちされたものであるべきだと思う。

発掘ということ

当社の理念にはいくつかのキーワードがあるが、最初のコラムにふさわしいキーワードは何かと考えていたら、発掘ということかなと感じたので、それをテーマにしたい。

発掘という言葉には、いろいろな意味があると思うが、個人的には以下のようなことをこめたコンセプトだと思っている。

・人の発掘
 当社のビジネスはクライアントが求める経営者(潜在的なそれも含め)を探し出し、紹介するというものだが、この「探し出す」という部分をどのように捉えるかで、ビジネスの概観は大きく変わる。
大手の人材紹介会社などは、転職希望者をマーケティングにより吸引し、それをDB化してマッチングする。
それを仕組み化し、量産体制を作ることがクライアントと候補者の双方の顧客満足に繋がるというビジネスモデルであると思う。実際、その仕組みがより多くの顧客を満足させていることは間違いない。
 我々はそこで敢えて「発掘するのだ」とこだわる。地道に、コツコツと必要な調査やヒアリング、インタビューを繰り返す。そこから発見して嬉しいのは、「ダイヤの原石」のごとく、奥深いところに輝きを秘めた人材だ。
当然、クライアントの求める人材をきっちりご紹介するという本文を外すことはない。しかし、やはりこの仕事をしていて感慨深いのは「まだ誰にも知られていない、大きな可能性を持った経営人材との出会い」に他ならない。
だから毎日、毎日、新しい可能性を求めて僕らは人に会うのだ。

・アイディアの発掘
 上記のようなビジネススタイルは非効率極まりない。しかし、効率を求めて本来我々がなすべきことをしなくなるならそんな仕事やめてしまったほうがいい。
では、どうしたらその仕事はもっと効率的になるんだろう?それには閃きが必要なんだろうと思う。アイディアだ。
ここでいうアイディアというのは、エジゾンの発明アイディアといったような大仰なものではなく、
「こんな風にしたら、もっといい人に出会えるのでは?」
「この人は、もしかするとこの会社の経営者に会わせると思いもかけない化学変化を起こすのでは?」
「このクライアントの課題というのは、実はクライアント自身も分かっていないけど、こんな解決策があるのでは?」
こういったアイディアだ。
これらの閃きは、どこかからやってくるわけでもなく、本を読んだりすれば出てくるようなものでもない。実は、日々の出来事の中に、あるいは自分自身の中に埋もれていて、見い出されるのを待っている。
僕らはそれを発掘することで、結果としてクリエイティビティの高い仕事ができる。

・価値の発掘
そうした、日々の行為の積み重ねと、その中に埋もれている「光り輝く何か」の発掘。それを生み出すのは、結局価値そのものだ。
価値向上の方法とは、決してゼロから作り上げることだけではない。むしろ他の多くの人が気づかない何か、それに自分が気づいて、その価値発揮ができるフィールドへサポートしてあげること。それこそが、我々が言うところの発掘である。
それは、人とアイディアという無形のものが発掘され、磨かれて、目に見える価値として我々の眼前に立ち現れてくる瞬間であり、この瞬間に立ち会うことが僕らの仕事の至福である。


Author:渡辺健堂
1971年生 北海道出身 北海道大学法学部卒
卒業後、㈱日本長期信用銀行入行。コーポレートファイナンス業務、マーケット部門でミドルオフィス業務に従事。その後、ベンチャー企業を経て2000年にヘッドハンティング会社の設立に参画。2002年に同社代表取締役社長に就任。投資ファンドにおける投資先経営陣確保の重要性に着目、幅広い業界の経営者候補との強いパイプラインを築く。
2006年㈱エグゼクティブ・ボードの立上げに参画、主に金融の他、事業開発、事業企画などを得意とし、経営者発掘と投資ビジネスの融合を模索している。

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