2010年7月アーカイブ

人材マーケットをアジア全体で捉える

私の良く知る経営者S氏(46歳)から「これからの10年は中国・アジアで自分の経験を活かしながら、残りの職業生活をかけるに値する刺激的な仕事にチャレンジしたい。どのような可能性があるか、相談に乗って欲しい」との依頼があった。

S氏は外資系の大手公認会計士事務所に勤務した後、公認会計士として独立していたが、あるファンドから声がかかり、先日まで大手外食チェーンのCEOを務めていた。
この役割も一段落したのを機に、世界中で一番変化のある中国・アジアでビジネスをしてみたいという気持ちが強くなった。英語はビジネスレベルだが、中国語はほとんど話せないので、今、個人レッスンを受けているらしい。

A氏はおそらく、日本であれば、様々な活躍の場があると思う。敢えて見知らぬ国で、今までの経験や人間関係を捨ててまでと考えたのは、A氏の考える本当のチャレンジの場が、今の日本には見つからない、ということであろう。

この半年、仕事で中国を訪れる機会が多い。その度にエネルギッシュな現地の経営者や、若いビジネスマンとお会いする機会が増え、日本という国や日本人の実態が見えてくる。
最初は、大声で早口で話しかけられたり、エグゼクティブサーチの仕事をしていると、一方的に自分を売り込んできたりする人達に圧倒され、時には違和感を感じていた。

一方、当社のクライアント企業からは「中国やアジアの国々に展開するスピードを速めるため、現地で優秀な経営人材やマネジメント人材を採用したい。本当のグローバル企業を目指すには、新卒や第二新卒クラスの若手の優秀な人材を採用し、育成したい」という依頼が増えている。
採用や受け入れ、育成等に課題は多い。しかし、日本人に限らず、中国やアジア各国からポテンシャルの高い外国人を採用し、日本で育成して世界で通用する次世代経営人材の層を厚くしたい。

A氏のようなケースはまだまだ少ないかもしれないが「日本で身に付けた経験やスキルを
日本だけに留めず、大きな成長可能性を秘めたアジアで花開かせ、社会に貢献したい。そして日本人の気概を世界に知らせたい」という心意気に拍手を送りたい。

当社も日本企業のアジア進出に際して、採用・人事支援や、中国・アジア人採用支援など、アジア全体をマーケットとして捉えた事業を手がける為に、中国での事業展開の準備を、急ピッチで進めている。

経営ポジション情報のあれこれ!

参院選も終わり、まだまだ政治の混迷は続き、今後さらに景気の落ち込みを予測する向きもあるが、エグゼクティブサーチ業界は、一時期に比べ案件が徐々に増えて来ている。

ただリーマン前と比較すると、求人スペックはさらにハイスペック・ピンポイントとなっている。また、経営者としての実績も重要だが、環境変化が著しいマーケットへ先入観を持たずに果敢に挑戦する気力や体力が要求される為、30代~40代半ばのポテンシャル経営人材を求めるケースが増えている。

例えば、卓越した経営者の経営戦略で急成長している中堅不動産会社は、株式公開を間近に控え、営業部門トップに大手証券会社の経営幹部候補を採用したいという依頼が来ている。
この数年、倍々ゲームで成長しているこの会社は、創業以来、社長が営業本部長を兼務してきた。しかし、上場や海外展開等、次のステージに挑戦する為に、経営機能を分担し、強化したいと考えている。特に営業部門は、厳しい環境の中で勝ち抜く為に、一定規模以上の組織を束ねて大きな成果を挙げた営業幹部をピンポイントで採用したい意向である。

一方、私が良く知るA氏のような事例も良くあるケースである。
A氏は大手総合商社に新卒で入社し、30代半ばに大手アパレル企業に幹部候補として転身し、商品の企画から生産に関わる責任者を務めた。2年前に会社全体の経営に関わりたいと株式公開を果したばかりの若いベンチャー経営者に経営指南役の期待をされ、直接口説かれ迎え入れられた。
A氏は事業全体を統括し、売上を大幅に伸ばすと共に人事・経理・経営管理などの業務全体を上場企業に相応しいものに進化させることを経営トップに進言する。ある時期は会社もA氏もハッピーと聞いていた。
しかし、多くの若手社員から高い評価と信頼を勝ち取り、事業を順調に伸ばすA氏に、経営トップを含め創業期からの経営陣が危機感を募らせ、結果として話し合いの結果退任を決意した。
経営者や経営幹部のポジションは非常にやりがいもあるが、一方でこのようなリスクもあることを、あらためて肝に銘じて頂きたい。

エグゼクティブサーチの仕事は、経営者の依頼を請けて経営幹部を探す仕事であるが、可能な限り、企業や経営人材の情報を正確に把握し、双方の理解にギャップが生じないように継続努力していきたい。
また、当社が関わる仕事は入社後の定着・活躍も視野に入れ、経営トップと経営幹部の正しい関係を支援していきたい。


Author:竹内薫
1955年生 福岡県出身 78年立命館大学卒
研究開発型ベンチャーの設立に携わったのち、82年(株)リクルート人材センター(現リクルートエージェント)入社。
人材紹介、エグゼクティブ・サーチ、教育研修事業部長、人事部長を歴任。
99年に㈱スピリッツ(人事・採用コンサルティング事業)を設立。
国内企業の成長を人事・採用面で支援する。
06年8月、経営人材に特化した人材サービス㈱エグゼクティブ・ボードを設立。
代表取締役に就任。
経営者及び経営人材の発掘と成長支援をライフワークとする。

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