2009年12月アーカイブ

未曾有の今年を振り返って 続編

前回は、エグゼクティブサーチの仕事を通じて、企業や組織に起った事をまとめてみたが、今回は、私の周辺の経営者やビジネスマンについてお話したい。


先ず、クライアント企業のオーナー経営者は、相対的に元気で活き活きされている。
マスコミで毎日のように取り上げられている勝ち組企業のY社長やN社長は、この機会を事業拡大や人材獲得のチャンスと捉え、思い切った攻めの経営を展開している。
また、大幅に業績が低迷し、会社の存続が危ぶまれている企業のオーナー経営者も、ここが出番とばかりに企業の再建に向けて、陣頭指揮で大鉈を振るわれている方が多い。
日本を代表する変革、挑戦の代名詞のY社長曰く「元々会社というものは形のないものであり、建物や備品、商品やサービス、そこで働く社員を総称して言っているもの。ある意味いつなくなるかわからないもの。だからこそ、なくならないように日々最善を尽くすのです。」まさしく、その通り!


次に、事業会社やファンド支援企業のCEO、COO、CFOとして奮闘されている経営者から、突然の退職連絡や転職相談を数多く請けている。
リーマン以降の激震で、外資系企業の日本撤退や縮小、日本企業の倒産、大幅なリストラ、経営統合やM&Aによる企業再編という業界や企業の環境変化によるものが多い。
それに加え、長期化する不況、時代やマーケットの変化にスピーディーに対応する為、この機会に経営陣を刷新し、外部から経営者を迎え、若手の抜擢に踏み切る企業も散見される。
しかしながら、今の日本企業では、業界や会社を変わっても通用する経営者が計画的に育成されていない。それ故、現在も次のステージを模索したり、不本意な立場を選択せざるを得なかったりする方が数多く存在する。
当社としても、こういう時こそ可能な限りお役に立てるよう、最大限に努力して相応の案件を獲得したい。


最後に、今まで優良企業で順調にキャリアを積み、次世代の経営幹部と目されている30代~40代の方たちのご相談を請けたことについて、取り上げたい。

「会社やご自身も右肩上がりで成長してきたが、社会や時代や経済の大きな転換期を迎え、改めて日本という国、携わっている業界や企業の将来を立ち止まって考える一方、自身の残された10年~20年の職業生活を悔いのない挑戦をしたいと考えた時に、果たして現状が正しいのか?
特にこの不況で今まで苦楽を共にしてきた多くの先輩や同僚が会社を追われるのを身近でみていると、改めて会社や仕事について考えてしまった」という方が多い。

先週お会いしたH氏は40代半ばで、誰もが知る大手優良企業の上級管理職。
おそらく会社からも将来を約束された人財と思うが、転身の相談に来られた。
私は、会社を我社と思う気持ちが強いのであれば、現職に留まることを勧めたが、以下の理由を聞き、出来る限りのお役に立ちたいと思う。

「我社は一時期の収益はあげられなくなったが、現状でも充分な収益をあげている。しかし、経営の方針で、人員リストラを実行し、自身も事業部長として部下の肩たたきを行った。新卒でこの会社に入社し、会社や仕事やそこで働く社員が大好きで今まで仕事をしてきた。甘いかもしれないが、今回の事で自分の力不足を痛感する共に、会社や経営に対して違和感を持ってしまった。
今まで、転職など考えたことはなかったが、これを機会に頭をまっさらにして、転職というよりも、これからの生き方や人生を考えたい」とのこと。


多くの読者の皆様にとっても、おそらく未曾有の1年であったと思われます。
最後に、エグゼクティブサーチの仕事で今まで多くの人とめぐり合い、そのお付き合いを通じて心から感じていることをお伝えして1年のご挨拶とさせて頂きます。
良いお年をお迎え下さい!

①人生の旬の時間は、自身が考えている程残されていない。
②人間が本気になれば、かなりのことは実現できる。
③自身の成功は、他人と比較したり、人からとやかく言われるものではなく、自身で感じたり、認めるもの。


未曾有の今年を振り返って

師走も半ばを過ぎ、100年に一度の不況と言われた1年も終わろうとしている。
エグゼクティブ・サーチの仕事を通して、見聞きした会社や組織及び経営者やビジネスマンについて、今年を振り返ってみたい。

今回は、会社や組織で何が起こったかを考えたい。
当社のクライアント企業はコンシューマ分野が多くを占めており、一部の勝ち組と言われる企業(ファーストリテイリング社、ニトリ社等)を除くと特に夏以降、大変な苦戦を強いられている。
対前年の売上が半減するなど極端な業績不振に陥り、それも徐々にではなく急激な悪化に見舞われた為、やむなく事業や人員のリストラに踏み切らざるを得ない企業が相次いだ。
当社にも、エグゼクティブ採用ではなく、経営者や経営幹部から自社の人員削減の進め方等について、アドバイスを求められることが増えたのも今年の特徴と言えよう。

経営者も従来の経営や事業戦略の限界を認めざるを得ず、経営体制の抜本的な見直しがなされ、事業会社やファンド支援企業において経営者や経営幹部の大胆なリプレイスが行われた。
私自身も自社の人材採用について相談を請けた後、経営者の転身の相談を請ける事が例年に比べ激増した。

このように、多くの企業が致命的な業績不振に見舞われ、やむなく外科手術的な施策により出血を止めながら、財務体力のある企業は、これからの生き残りを賭けてリスクを承知で思い切ったチャレンジを始めている。そのいくつかをご紹介したい。

アパレル大手のA社は40代社長への交代を機に、マーケティングとマーチャンダイジングを大幅に見直し、作る側や売る側の論理ではなく、使う側や買う側の視点で組織体制、商品開発や店舗展開に反映している。
 
日本において圧倒的な総合情報サービス事業を展開してきたB社は、日本マーケットはアジアの一部と捉え、中国を中心としたアジア全域に本格的な事業基盤を創る意思決定をして、積極的に経営資源の先行投資を行う。(その責任者は当社とも深く関わる人材なので積極的に支援していくつもりである。)

「これからの時代は挑戦や変革するリーダーが必要である。その為に一度会社をぶっ壊し、新しく創りかえる」と言って大幅な経営幹部の若返りを実行したC社。未だ社内は混乱しているように見えるが、明らかに現場の意見が経営に反映され、意思決定スピードは大幅に上がっている。
私自身はリーマンショックが引き起こした不況というより、日本や日本企業を取り巻く構造変化、例えば少子高齢化に伴う国力の低下、政治の混迷、グローバル競争の激化、消費者の成熟化等で、多くの企業が大きな痛手を受けていると感じている。

従って、日本や日本企業の復活の為には、自らがこの環境下で勝ち抜くしか方法はない。
今回、ご紹介した企業以外でも、多くの企業や経営者が全力で挑戦や変革に奮闘されていると思われる。
当社は、来年以降もそのような企業や経営者を、全力で応援したいと強く思う。


Author:竹内薫
1955年生 福岡県出身 78年立命館大学卒
研究開発型ベンチャーの設立に携わったのち、82年(株)リクルート人材センター(現リクルートエージェント)入社。
人材紹介、エグゼクティブ・サーチ、教育研修事業部長、人事部長を歴任。
99年に㈱スピリッツ(人事・採用コンサルティング事業)を設立。
国内企業の成長を人事・採用面で支援する。
06年8月、経営人材に特化した人材サービス㈱エグゼクティブ・ボードを設立。
代表取締役に就任。
経営者及び経営人材の発掘と成長支援をライフワークとする。

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