2009年9月アーカイブ

店長候補から海外現地法人の社長へ

当社のグループ企業である(株)スピリッツ(企業の採用コンサルティング事業)で10年以上お手伝いしているアパレルSPA企業(仮にA社)がある。A社は厳しい経済環境下にありながら苦戦する多くの企業を尻目に、この分野では一人勝ちしている企業である。

今から10年前、次世代を担うリーダーを採用したいというA社経営者の依頼を請け、採用戦略の立案から採用実務のサポートを担当し、1年半で約100名の若手人材(30前後)を採用した。

彼らの出身業界は小売流通業界のみならず商社、銀行、自動車・エレクトロニクス関連等のメーカーなど様々で、いわゆる経験・スキルというよりポテンシャル採用と位置づけ、性格・人物、志向性・価値観などを重視し、A社経営陣と協力して、かなりの時間と労力をかけて採用した。採用者の多くは、小売業の原点である店舗配属となり、年下の先輩社員から店舗運営の基本を教わりながらのスタートであった。

この10年でA社は、着実な成長を遂げ、国内事業に加え海外への展開を積極化させている。彼らも国内店舗の販売員から店長、スーパーバイザーとキャリアを積み、海外事業に強い思いの有る人は数年前から海外展開の先兵となり、イギリス、アメリカ、フランス、中国、韓国、シンガポール等をチャレンジの場としている。

エグゼクティブ・サーチをしていると、将来経営者を目指す20代~30代の方とも多くお会いする。その多くは、事業会社や戦略コンサルティング会社で営業、マーケティング、事業企画・事業開発、経営企画、経理、財務などの経験を活かし出来るだけ早い時期に経営参画できる案件を望まれる方が多い。もちろん、業界や企業規模によりそういうチャンスもあるかもしれないが、私自身は将来経営を目指す人ほど、前述のA社のようにリーダーとしての適性を有する人材を採用し、会社のビジョンや理念を徹底的に身に付けさせ、一番重要と思われる現場の仕事を経験させた後(A社の場合は、店舗オペレーションと人材マネジメント)に、経営幹部として抜擢し機会を与える会社をお薦めしたい。

最後にA社に10年前に採用すべき人物像を経営者と話し合いまとめたものを参考までに列記する。

<マインド・スタンス>
・ サービス精神(顧客志向=人のために役に立つ事をしたい)
・ 自己成長意欲高い
・ 人を巻き込むリーダーシップがある。
・ モチベーションを維持し、エネルギーを感じる。
・ 失敗を恐れない。
・ 仕事=人生と思える。

<能力>
・ 変化を楽しめ、柔軟に対応できる。
・ 本質を捉える力がある。
・ あるべき姿を描き、最後まであきらめないやりきる力。
・ 地頭がよい。

<志向>
・ 経営者を明確に志向。
・ グローバルビジネスへの強い興味。
・ 自社の商品が好き。
・ 常識を超えるようなことを成し遂げたい。

後継経営者の採用

当社に寄せられる案件の中で、コンサルタントが苦労するプロジェクトの一つに後継経営者の採用がある。
オーナー経営者から直接依頼を請けるケースとファンド等から支援企業の経営者のリプレイスを依頼されるケースである。
いずれの場合も、前職において、企業の成長や再建に経営者もしくは経営幹部として成果を収めた実績が重要視されるのは言うまでもない。
従来は、同業界やそれに近しい分野での経験者に限定されることが多くサーチ対象者を特定することが比較的容易であった。しかし、ここ最近は業界そのものがグローバル競争に立ち遅れて近未来の成長戦略が描けずにいる中で、むしろ、同業ではなく異業種でも短期間で会社を大きく成長させた方、経営に行き詰った会社を大きく変革させたプロの経営者を求めたいという要望もある。

例えば、東京土産で誰もが知る菓子メーカーの次期社長候補で迎え入れられたA氏は、大手アパレルメーカーの幹部を務めた後、あるファンドの支援先に社長として派遣され数年で中堅企業を再建し、無事エグジットを果した。
そのA氏が菓子メーカーの創業社長との面談をクリアーして採用されたのは1年前である。
オーナー社長との初回面談は、レジュメなど一切見ず数時間に渡り、今までどういう生き方をしてきたか?どういう価値基準を持っているか?これからどういう人生を送りたいか?などその人柄、志向性、職業観、人生観について丸裸にされたとのこと。
また、同様にA氏は、オーナー経営者に対して率直な質問を繰り返し面談終了時にはお互いヘトヘトになったらしい。

また、ある消費財メーカーのB社長(創業家継承)からの依頼は、今期から正式に創業社長から経営権をバトンタッチされ業績低迷する会社の事業リストラと事業開発を同時に実行する必要があるので、No.2として二人三脚で事業経営を任せられるCOOを迎えたいとのこと。同業での経験に限らず、コンシューマ業界であれば経営者としての確かな実績を重視したい。出来れば国内外のグローバル企業や総合商社などでグローバルな視点に立ったマネジメント、経営経験を有する人が望ましいとのこと。
とは言え、現状は極めてドメスティックな日本企業なので合理的な経営管理手法だけでなく人間的な魅力を併せ持つリーダーを希望するとのこと。

日本や日本企業のおかれた立場は、益々厳しい環境になっており、それを反映してクライアント企業が我々エグゼクティブ・サーチ会社に期待する人材は、業界の枠を超えた本物の経営者を求めているのだ。その期待に応えるべく、今まで以上にサービスレベルを上げていかねばならないと強く思う。


Author:竹内薫
1955年生 福岡県出身 78年立命館大学卒
研究開発型ベンチャーの設立に携わったのち、82年(株)リクルート人材センター(現リクルートエージェント)入社。
人材紹介、エグゼクティブ・サーチ、教育研修事業部長、人事部長を歴任。
99年に㈱スピリッツ(人事・採用コンサルティング事業)を設立。
国内企業の成長を人事・採用面で支援する。
06年8月、経営人材に特化した人材サービス㈱エグゼクティブ・ボードを設立。
代表取締役に就任。
経営者及び経営人材の発掘と成長支援をライフワークとする。

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