2009年3月アーカイブ

エグゼクティブ・サーチの仕事は、企業経営者から直接依頼を請け、経営幹部クラスの人材を紹介するのが通常である。従って、経営トップとの関係が自然に深まり結果として人材採用以外の相談や意見交換を求められることがしばしばある。

最近は、今まで自社の採用について相談を請けていた経営者から、自身の今後の仕事を探して欲しいという依頼が増えている。
例えば某ファンドからCEOとして派遣されていたA氏も、突然の社長交代を言い渡され当社スポンサーであるグローバル企業のヴァイスプレジデントとして面談が進んでいる。
元々、日本の総合商社から外資系外食事業会社の拡大成長期に転職し執行役員を務めた後、ファンドからある地方のサービス業のトップ案件を提示され約1年半前に就任しこれからと言う時に突然のことであった。
今後は、経営者案件に限らずグローバル企業の経営幹部の一員として、日本だけでなく海外拠点で活躍することも選択肢に入れたいとのこと。

また、以前からお付き合いのある上場企業や地方の優良中堅企業の社長から久し振りにご連絡頂いた。今回の経済危機のあおりを受け、事業提携や売却を検討する必要があり、シナジー効果が得られる企業を紹介して欲しいとのこと。
長く人材ビジネスに関わっているが、このようなご相談をこれほどまでに数多く頂くのは極めて珍しいことだ。経営者が異口同音に言われるのは、今回の環境変化は極めてスピードが早く、最終的に打つ手が後手に回り最悪の結果となってしまった。
また、今まで経験した環境変化では考えられないほどのマーケットの致命的冷え込みで、自社のリスクヘッジ領域を大きく超えてしまった。これも経営の甘さと言えばそれまでだが等。

ある金融業界の方が、今回の不況は人間の病気に例えると重病であるが発見が早かったので各企業が初期対応さえ間違わなければ回復が早いと言われていた。しかし、今のところその気配は感じられない。今一度、経営の手綱を引き締めて基本的なことを大事にする必要がありそうだ!

人事組織の抜本改革が進む!

今年の2月は、例年にも増してまさしく逃げるように過ぎ去った。
各企業の新年度に向けた事業戦略や計画がほぼ固まるこの時期、当社クライアント企業の経営者と新年度計画、特に人事組織関連のお話を伺う機会が増えている。

当社クライアント企業の多くは、今まで経験したことのない経済環境の厳しさの中で、生き残りや更なる成長を賭け思い切った人事組織改革を進めている。
今回はその一例をご紹介したい。

① 創業社長の現場復帰や権限拡大が目立つ。
不況期のアパレル業界で勝ち組の代表とされる1部上場企業の経営者との会話。
事業は今のところ順調だが、会社はいつのまにか肥大化し、大企業病に陥ってしまった。創業時のベンチャー風土に変革する為に、自ら変革チームを指揮してすべての部門の役割機能を見直している。本格的なグローバル展開に向けて中身の伴う成長を実現する為、人事組織に抜本的な大鉈を振るう覚悟という。
おそらく、新年度は時代変化や顧客要望を速やかに反映できるスリムな組織体制でスタートすることになりそうだ。

また、誰もが良く知るエンターテイメント事業を展開する企業は、数年間、既存事業の経営をCOOに任せ、会長としてM&Aを中心とした事業開発に注力していた創業者がCEOとして営業部門の統括責任者として再登板する。
全国にエース級の支社長を配置し大きな権限を与え、各エリアの顧客ニーズを売上拡大やサービス開発に早期につなげることを可能にした。
これも、創業回帰の試みの一例と考える。

② 次世代経営人材を本気で育成する。
従来、外部から採用を予定していた経営幹部については一旦クローズし、改めて社内から候補者を選抜する。チャレンジポジションを与え、本気で育成することを決めた企業も多い。
ある大手通販会社は、毎年50名程度のミドルマネージャークラス以上を採用していたが、今年は採用を抑えるとのこと。社員個々に育成計画を立て、成長如何で次世代経営幹部として登用していく。

エグゼクティブサーチの仕事を通じて、当社が大事にしているのは、単に採用を目的にするのではない。入社する人材が活かされ活躍することで、会社や事業の成長に貢献頂きたいという想いである。
言い換えれば、外部からの採用の前に埋もれた社内人材の発掘や、次世代経営人材の計画的な育成が極めて重要と考える。
次の成長の為に、経営資源としての<既存人財>と新たに迎える<外部人財>の融合を実現する為の取り組みを、多くの経営者に改めてお願いしたい。


Author:竹内薫
1955年生 福岡県出身 78年立命館大学卒
研究開発型ベンチャーの設立に携わったのち、82年(株)リクルート人材センター(現リクルートエージェント)入社。
人材紹介、エグゼクティブ・サーチ、教育研修事業部長、人事部長を歴任。
99年に㈱スピリッツ(人事・採用コンサルティング事業)を設立。
国内企業の成長を人事・採用面で支援する。
06年8月、経営人材に特化した人材サービス㈱エグゼクティブ・ボードを設立。
代表取締役に就任。
経営者及び経営人材の発掘と成長支援をライフワークとする。

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