2008年9月アーカイブ

経営人材が流出するひとつの理由

人材ビジネスに携わり多くの経営者や経営幹部とお会いしていると、社会や経済の動向や業界や企業の好不調の実態が自ずと見えてくる。

企業経営者やビジネスマンの会社や事業に対する想いや不安も同様にかなり本音として伺うことが出来る。

最近はリーマン・ブラザース社の経営破綻が代表するように、多くの企業が経営に行き詰まり危機を乗り切るために死に物狂いの経営努力を余儀なくされている。

また、一時期は時代のニーズを掴み順調に成長し近未来に株式公開を目論んでいた企業が外部環境の急変で公開を延期する、もしくは断念するケースも大幅に増えている。

一般的には、上記のような景気の影響を受け業界や会社そのものが打撃を受け人材リストラに直面したり、将来の不安を感じて自ら新天地を求めるケースが多いと思う。

しかし、企業の中核として活躍している人財は企業トップから企業変革(事業成長、新規事業開発、株式公開、事業再生)の為に、期待され重要な役割責任を任されているので簡単に辞めることは少ない。その彼らが会社を去る大きな理由のひとつは経営層の事業に対する意欲の減退にあると思われる。

K氏(38歳)は、大手証券会社から取引先でもあるIT系ベンチャー企業にスカウトされ、CFOとして株式公開を見事成功させた。元々、競争の激しい業界の為、常に技術やサービスの開発や改善が必要とされているのだが、上場を機に経営トップが自身の保身を優先し事業投資に消極的となり創業期に参加した若手優秀人材が流出している。
K氏は側近としてトップに進言するも大きな改善は見られず、自身の挑戦の場を変えることを考え出した。

O氏(45歳)は約10年実質オーナー社長を支えて事業規模を10倍にすることに多大な貢献をしてきた。成長期のこの会社は新たなビジネスモデルとベンチャー精神で発展し世の中から注目された企業であった。最近では競合も増え国内での成長に限界が見え始め、今後10年の事業戦略を描き実行する時期と言える。
その中長期戦略を実現する為にも次世代の経営者を社内で育成する必要があるがここ数年間、異業種の人材を社外から役員としてスカウトするも戦力化できずにいる。
その為、生え抜きの優秀な中堅社員はいくら努力して成果をあげてもこれ以上キャリアを伸ばせないと外部流出している。
O氏は会社や社員が輝きを取り戻す為に辞表を胸に直訴する覚悟でいる。

経営者のロマンやビジョンに共感し、その事業成長の可能性を信じてリスクを承知で飛び込んだ人財は、外部の環境変化ではなく経営者の変わらぬ挑戦や変革への熱い想いに奮い立つ。

景気の好不況に関係なくその会社にとって<良い人>は世の中に多くは存在しない。
また、その会社にとって必要な幹部候補は経営トップや経営幹部自らが時間をかけて育成する必要がある。

自戒を込めて、経営者や経営幹部の皆さん、初心に戻り社員とロマンやビジョンをもっと語り合いましょう!

志の絆を拡げたい!

今回も前回ご紹介したOさんのお話を続けたい。
当社のグループ会社に企業の継続的成長を支援する為に、<社外採用部>の役割を果たしている(株)スピリッツがある。
企業の変革(成長、新事業、再生など)は高い志とビジネススキルを有する人材が力を合わせて始めて成功すると考え10年前に設立した。
継続的成長の為に経営幹部だけでなく、高い専門性を持ったスペシャリスト、将来を担う若手などの採用を成功させる為に戦略策定から直接的な人材確保まで一貫したサービスを提供している。
現在も日本から世界に挑戦する上場企業や、株式公開とその後の成長戦略を描く中堅企業等、チームを組みプロジェクト的に支援している。

少し前置きが長くなったが、Oさんが今回グローバルリテール企業に入社するきっかけは7月4日のコラムでご紹介したA氏<米国で育った侍・経営幹部>との出会いと言えよう。

日本人の生活をもっと豊かにしたい。その為には、日常に必要な商品がいつでも手頃な値段で手に入るビジネスモデルを構築しなければならない。
もちろん、簡単にできるとは思わないが、困難だからこそ本気でチャレンジするに相応しい仕事と考える。今までの職業生活の集大成をこの仕事に賭けてみたいと思う。
A氏に始めてお会いした半年前にこのような話を頂き、難しい要望だがお役に立ちたいと考え仕事をお請けした。
今まで、A氏の思いに共感する人材は複数いたが、現状の課題や目標のハードルの高さを冷静に判断されて参加する人は現状では少ない。

その中で、Oさんはその企業の理念やビジョンに共感し、A氏の熱い志に触れ心が揺り動かされ、その仲間に加わることを決めた。同時にOさんは企業の変革に最重要な従業員一人ひとりが勇気と元気を取り戻し、心をひとつにして挑戦する企業集団を本気で創りたいとも…

私は経験やスキルはもちろん大事だが、人間が本気で物事に打ち込む時のエネルギーを信じたい。近い将来、たくさんのお客様の会話や笑顔で賑わうこの店に買い物に行くのを楽しみにしている。

その為には、志の絆をもっと拡げていかなくては!


Author:竹内薫
1955年生 福岡県出身 78年立命館大学卒
研究開発型ベンチャーの設立に携わったのち、82年(株)リクルート人材センター(現リクルートエージェント)入社。
人材紹介、エグゼクティブ・サーチ、教育研修事業部長、人事部長を歴任。
99年に㈱スピリッツ(人事・採用コンサルティング事業)を設立。
国内企業の成長を人事・採用面で支援する。
06年8月、経営人材に特化した人材サービス㈱エグゼクティブ・ボードを設立。
代表取締役に就任。
経営者及び経営人材の発掘と成長支援をライフワークとする。

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