2008年7月アーカイブ

経営人材の発掘と育成

当社の事業目的は単なる経営人材を右から左に移動させることではなく、即戦力経営者に活躍の場を提供するだけでなく、30代~40代前半を中心としたビジネスリーダーを発掘し、経験を積んで頂く事で本物の経営者を育成することを目指している。

K氏(37歳)は総合商社の繊維・アパレル分野で活躍する人材である。
K氏は当社に依頼されている案件で有名なラグジュアリーブランドの日本法人社長後継者としてオファーする直前まで来ていた。

K氏は幼少時代を海外で過ごした後、帰国。日本の大学を卒業し、将来はグローバルビジネスマンになりたいと考え総合商社に入社した。
当時、新規事業としてスタートしたリテール事業のプロジェクトメンバーとして、各種市場調査並びにスタートアップ関連業務を担当し、スタートアップしたリテール新会社に出向しマーチャンダイジング(商品部)を担当することになる。

その後のK氏は、海外から日本に新規参入する小売やアパレル企業との合弁事業会社設立やM&A案件、デュー・デリジェンスや事業計画の策定に多く関わっていく。
また、進出間もない合弁企業に自ら希望して出向し、商品担当のヴァイスプレジデントとして数100億円規模に成長させる経験をする。

キャリアだけを見ると、同様の経験をしているビジネスマンは他にもいると思うが、私がK氏を高く評価しているのは常に経営者の視点で考え、発言し、行動していることである。
また、ビジネスだけでなく人生の目標を明確に持ち、眼の前のことから逃げることなく一生懸命努力を重ねていることである。
例えば、プライベートの時間を使い、会社や上司のせいにして自らのチャレンジを諦めかけている若手を集めて、経験を基に事業開発や事業計画の立て方やマネジメントの考え方を伝えている、と同じ会社の人から聞いた。まさしく経営者の仕事である。

そんなK氏に今大きなチャンスが訪れている。
会社から指名されビックプロジェクトの責任者に任命され、日本と海外を奔走している。
おそらく、この案件がまとまれば新会社の社長に就任することになるであろう。

最初に申し上げたように、当社は経営人材の発掘と育成を事業目的としている。
従って、このタイミングで転身を勧めることは控え、取り組んでいるM&A企業の社長で経験を積み、将来は本体(総合商社)のトップとなって頂きたいと考えている。
当社はK氏が社長を務める会社を中長期的に支援していきたい。

米国で育った「侍」経営幹部

当社に寄せられる案件の多くは、コンシューマ分野(小売・流通・サービス業界)の管理職、経営幹部採用である。その中で、最近プロジェクト的に取り組んでいる中にグローバルリテール企業の次世代経営幹部採用(30代のコア人材)がある。この案件は、プロパーの優秀層と外部の異業種人材を計画的なキャリアパスにより、数年後の経営幹部として育成することを目的としている。
今回は、この企業の人事担当役員をご紹介したい。

A氏の社会人としてのスタートは誰もが知る自動車関連のグローバル企業の人事部である。
数年後に、新聞でも大きく取り上げられた同業米国企業のM&Aを機にHR管理職として赴任し、以後10数年を米国企業の経営幹部としてキャリアを積んだ。最終的にはCEOを補佐するNo.2の役割を果たすことになる。

現在は帰国し、グローバルリテール企業の日本法人の経営幹部として転身し人事や広報などを統括し変革のエンジンとして活躍している。

私から見たA氏の魅力は以下である。
①会社や事業に対するコミットメント力
会社や事業の課題を事実に基づき徹底的に正しく深く把握し、周囲の意見や情報を参考にしながらも、常に自らの意思で決意し実行に移す。
②人や物事の本質を見極める力
当社との仕事の打ち合わせや候補者との面接を通じて表面的な説明や質問ではなく、本質や真実を理解する努力を惜しまない。
③ポジティブな考え方とフェアでオープンな人柄
アメリカ企業及び現職での役割は非常に難易度が高く、普通の幹部であれば腰が引けてしまうかもしれない。A氏はそれをあたかも楽しんでいるかのように前向きに取り組んでいる。また、その人柄に社員も私のような社外の人間も魅力を感じ、応援したいと思う人。

最後に何故、A氏のような経営人材が生まれたのかを考えてみた。
それは、A氏との会話の中にヒントがあった。
A氏曰く、
「社命により若くして問題山積みの米国法人に出向し、本社の支援も得られず、ただひたすら会社や従業員や顧客の為に良いと思うことを自分で判断し、実行し責任を取ってきた。
出口の見えないトンネルの中をいつも歩んできたようなもの。
また、管理職としての経験は経営的に厳しい状況にある米国法人のみ、そこは社内論理や曖昧な判断は一切許されない戦場だった。」

つまり、厳しい冬を越した春に人は育つということか!
今、日本は世界の中で取り残されつつあるが、一人でも多く世界で通用する人材が育つことを応援していきたい。


Author:竹内薫
1955年生 福岡県出身 78年立命館大学卒
研究開発型ベンチャーの設立に携わったのち、82年(株)リクルート人材センター(現リクルートエージェント)入社。
人材紹介、エグゼクティブ・サーチ、教育研修事業部長、人事部長を歴任。
99年に㈱スピリッツ(人事・採用コンサルティング事業)を設立。
国内企業の成長を人事・採用面で支援する。
06年8月、経営人材に特化した人材サービス㈱エグゼクティブ・ボードを設立。
代表取締役に就任。
経営者及び経営人材の発掘と成長支援をライフワークとする。

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