4月の新卒セミナー

 

 4月10日に、ある日系広告会社(現地法人)の新卒採用のお手伝いを上海で行いました。このお客様は、本社は広島で、年商も20億円くらいと、決して大きな会社ではありません。また事業内容も広告ではありますが、主たる業務は顧客の店舗の看板を作成し取り付けること。つまり、優秀な大学生にとって「是非行きたい」と思われるような内容が詰まっている会社とは言えないかもしれません。しかし、この会社は日本での半年から一年程度の研修制度を取り入れることで、優秀な学生の集客に成功しました。

 

今年7月卒業予定者を対象に広報を行い、総計300名近い応募がありました。今回の新卒採用では、営業職、デザイン職、設計職の三職種を採用することを目的に説明会を開催しました。Top校からの応募者も多数あり、会場の都合もあって80名程度の応募者に来場いただきました。同日に一次面接まで終了し、現在6名に内定を出したところです。

 

日本でこのような採用を行った場合、どの程度の優秀な人材を確保することができるでしょうか。今回、私が実際にお手伝いをするにあたり、有名でもない小さな日系の会社で、また事業内容も決して先進的でもない企業に、どこまで優秀な学生が集まるのか不安がありましたが、全くの杞憂に終わりました。また時期としても、他社に比して半年程度の遅れもあったのですが、この問題もクリアし集客できました。

 

こうして見ると、特に日本での研修制度が大きな魅力に映っていることがわかります。他社での内定がありながら参加した学生に聞いてみると、ほぼこの研修制度に惹かれて来場していました。これらのことから考えると、日本の中小企業にとって中国の優秀な人材の確保は、中途採用で行うのは非常に難しいのですが、新卒採用という手法を行えば、比較的容易に確保できることがわかります。日本の大学生の就職率も高くないので、日本人の大学生の確保も一頃より容易になっていると思いますが、今後の海外展開を考えると、優秀な中国人の確保は、より重要な手段になってきていると感じます。

 

日本の高度成長を支えた大きな原動力の一つに、有名なセットメーカーを支えた、小さくても技術を持った多数の企業の存在があったことは皆さんもご存じのことと思います。そして、こうした小さな企業にも、優秀な人材が数多く入社し、日本の技術革新に大きな役割を果たして来たことも忘れてはならないことです。これからの日本企業の成長においても、優秀な人材の確保は最重要のテーマであり、その対象者には非日本人大学生も含まれる時代が到来していると実感しています。


中国人材市場

ご無沙汰しております。

 

先日(7/14)セミナーを開催しました。テーマは「中国人材採用市場」です。

中国に限った話ではありませんが、海外に進出する企業は、その土地のマーケット環境を理解することと同じくらい、その人材市場を理解することが重要です。商品を作りサービスを提供するのは「人」です。全て日本からの出向者で賄うのであれば良いですが、それで成功することは非常に困難でしょう。言葉や現地市場に対する理解はもとより、自社そのものや自社製品・サービスに共感する人材に出会えるかが重要です。

しかし、海外でも有名な日系企業は数えるほどしかありません。いきなりそんな人材に出会えるはずもありません。つまり、そういった人材を育成できるか否かが鍵になるということです。

 

 中国は転職天国のような国です。30歳未満の平均在籍年数はたった1年半。会社への愛着やロイヤリティなんて感覚は非常に薄く、給与やポジションを上げるため常に機会を伺っています。そんな環境で、日系企業が日本で行っているマネジメント手法は通じません。

 

 ここで、日系企業が行っているマネジメントの最も大きな特徴を挙げます。それは、労使が持ちつ持たれつの関係であるということです。
若い時はサビ残も含め会社に奉公し、その代わりに年齢が上がって閑職になってもクビにはならず高給をもらう。(非常に誇張した書き方ですが・・・)日本のestablishな会社の多くは、上位管理者の役職者(肩書きだけも含め)が非常に多く、これは世界的に見て「変」です。
こういったことは、法制度も問題も多分に影響しますので、一概に会社の問題だとは言い切れませんが、私の感覚では、日本の会社は若い人が薄給で、高年齢の高所得者を食わせているとように映っています。(まるでこれからの日本の社会そのものですね)しかしながら昨今、円高や新興国との競争が激化し、これまでのパラダイムでは対応しきれなくなってきているのも事実ですが。

 

 さて、話を元に戻すと、中国で前述したような会社と個人の関係で仕事をさせ、成果を他社(中国内資や欧米系)よりも出していくのは至難の業です。ある程度、短期で離職することを覚悟しなければなりません。しかし、会社のコアになるような人材までも、このようなことでは不安で仕方がありません。結果、多くの日系企業の上位管理者の大半は日本人だということが、それを証明しています。

 

 今回のセミナーでは、この問題を解決する一つの手段を提案しています。

 

 ご興味がある方はご連絡ください。 


1ヶ月ぶりの更新です。

 

さて、前回日系企業が中国に進出して成功する人材マネジメントの方法として、下記の2つしか無いと申し上げました。

 

1. 完全現地化
2. 日系らしく日本のマネジメントを貫く

 

今回は2.についてお話したいと思います。

 

そもそも、日系企業の多くは、総合職として新卒を採用し、さまざまな業務を経験させるプロセスを経て、ゼネラリストを育成していく考え方を持っています。
例えメーカーでエンジニアとして就職した後ですら、人事や広報に異動になるケースもあります。
しかし中国では、新卒でも職種別採用なので、大学で学んだことと就職する際の職種に関連性があるケースが多いと感じます。
また日本では、新卒で入社してからの転職率は、最近では3年で30%と言われますが、大手企業に限って言えば、未だ1~2%程度です。
この状況も中国では大きく異なり、新卒入社後の離職率は3年で50%以上です。また、これは大企業でも高く、転職が一般的な社会であると言えます。
さらに、業務範囲外の仕事に対する要求や地域間異動についても、日本なら正社員として入社したのだから、従業員がそれを受け入れることは「当たり前」として考えられています。
これも中国では大きく異なり、業務範囲外の仕事を依頼しても、素直に受け入れられることあまりなく、地域間異動を伝えれば、即退職というケースも非常に多いのが実態です。
こういった文化の違いの中で、日系企業が日本と同じようなマネジメントを従業員に対して行えば、自ずと結果は見えてきます。

 

多くの日本人は、こういった中国人従業員を見るたびに、「中国人は働かない」、あるいは「中国人はわがままだ」と感じていることと思います。私も個人的には「企業戦士」でしたので、こういった感覚を持っていないといえば嘘になります。その一方、「成果を上げる」という目的志向を貫くのであれば、こういった中国人を人材として活用していかなければなりません。
では、こういった日本人と中国人の仕事や会社に対する考え方の違いは、生まれつきの問題なので、解決不能なテーマでしょうか。

 

答えは「No」です。

 

多くの中国人がこのような考え方を持った背景の一つをお伝えしましょう。

 

そもそも中国では、日本で言うところの「正社員」であったとしても、入社して一定期間は期間の定めのある「契約社員」だということです。
一回の契約期間は1~3年で、その契約期間が満了した場合、契約を更新されないリスクが常に労働者側に存在するということです。さらに、2回目の更新以降は無期雇用になりますが、最長6年間は契約社員として扱うことができるということです。

 

日本に比して、労働者の雇用が守られた環境ではありません。もちろん中国でも、日本で言う中年以上の転職は厳しいですから、若い間に専門スキルを身につけ、転職しながら給与をできる限り上げ、転職が難しくなる年齢になった頃には、リタイアか自分で小さなお店でもやりたいというのが、多くの中国人の希望だと言っても過言ではありません。

 

つまり、長い時間をかけてゼネラリストを育成していこうとする日本企業の考え方は、この国には適さないというのが結論です。

 

では、こういった日本的マネジメントが不可能なのかと言えば、必ずしもそうではないと思います。

 

次回は、中国でも日本的マネジメントを貫くための手法についてお話したいと思います。 


中国人気質

 大変ご無沙汰しております。

さて今回は、ようやく私たちの専門である「人」についてお話しましょう。

 

昨日、南京・北京に出張に行って参りました。どちらの街も、都市としての発展は目覚しく、来る度にその変化に驚いてしまいます。今回もいつものように、北京空港から上海虹橋空港まで飛行機に乗り帰ってきました。その飛行機内での出来事から、中国人気質の一端をお伝えしたいと思います。

 

北京で飛行機に乗り込むと、前の座席に一人の男性の若者が座っていました。

彼はiPadを徐に開きゲームを始めました。ここまでは、日本でも良く見かける光景かもしれません。ただ、機内は比較的混んでいるにもかかわらず、彼はヘッドホンをせず、音量をかなり大きくして遊んでいることを除けば。

そうこうしている内に、飛行機はスポットを離れ離陸準備に入りました。当然、彼は走行を始めた機内で注意され、ようやくゲームを終了しました。離陸してしばらくすると、食事の時間になりました。彼は私よりも早く食事を終えるとともに、その終わった食事をトレーごと、自分の座席の下に置くではありませんか。

私は少し伸ばしていた足をすくめ、彼のために彼の座席の下を空けました。そうすると、彼は早速しまっていたiPadを開くとともに、離陸前と同じゲームを大音量で開始しました。

その後、CAの方が食事を片付けに来ましたが、彼の机の上には既に食べた後のトレーはなく、あるのはiPadだけ。彼は食事を片付けに来たCAに自分の食べた後のトレーが座席の下にあることも告げず、ただ自分のやるべきこと(ゲーム)に集中しているだけでした。

私はCAに座席の下を指差し、ようやく片付けてもらって、足を伸ばすことができるようになりました。

 

彼の行動は、一般的な中国人ではありません。私も中国国内で何度も飛行機に乗りましたが、このような光景は初めてです。しかし、彼が取った行動の裏にある心理は、一般的な中国人と言えるかも知れません。要するに、自分のやりたいことをやるということです。これは決して批判ではなく、ひとつの評価であると捉えて欲しいのです。

 

今回の大震災において、中国系のメディア(中国本土はもちろん、香港や台湾も含め)は、被災された日本人の行動に感心しています。具体的には、自分の家族を失ったにもかかわらず、メディアの前で泣き叫ぶことなく淡々と自分の気持ちを表現する姿や、避難所で配布される支援物資を、整然と並んで、かつ自分の必要な量だけ受け取る姿に、驚きと尊敬の言葉で報道していました。

 

他人の迷惑を最大限に考慮しながら行動する日本人にとって、自分のしたいように行動する中国人の姿は理解し難いものになりがちです。中国にある日系企業の多くは、このような中国人従業員に日々頭を悩ませているのも事実です。

 

しかし、モノは考えようです。自分のやりたいことには全力で集中して行動する中国人は、ある意味で大きな戦力にもなるわけです。つまり、日系企業だろうと内資企業であろうと、従業員にとってその仕事やその場が、やりたいこと、場所になれば良いだけです。そういった環境を提供することこそに集中すれば、一見わがままに見える中国人は物凄く大きな戦力に早変わりするということです。

 

私の個人的意見としては、日系企業は従業員に甘えすぎているのではないでしょうか。残業するのは当たり前。会社に滅私奉公するのが当たり前。自分の意見を曲げてでも会社のために尽くすべき。(この考え方が、過去の企業不祥事の温床ではないでしょうか)この考え方自身を、日系企業が海外に進出した場合に変えるべきであり、これを持ち込んで成功することは非常に難しいと思うべきではないでしょうか。

 

こういった話を現地の日系企業Topに伝えても、多くは「本社の意向で・・・」と変えられないのも事実です。そんな時、別の観点から考えてみましょう。

 

中国人は、DNA的に協調性が無いわけでもなく、わがままなわけではありません。単に、環境がそうであるだけで、本質的には日本人とまったく同じ「人」です。つまり、環境によって日本人であろうと何人であろうと、考え方やそれに基づく行動は大きく変化するということです。

 

中国人の転職のお手伝いをしていて感じることは、日系企業経験者は、日系企業的マネジメントに慣れているということです。さしてわがままでもなく、会社のために働くという概念を、一般的な中国人よりも多く認識しています。

 

これらの事実から考えると、最も日系企業が中国に進出して成功する方法は、下記の2つしか無いということです。

 

1. 完全現地化
2. 日系らしく日本のマネジメントを貫く

 

1.の場合は、仕事環境を徹底的に中国人従業員にとって「働きたい」と思う仕事・場にするということであり、2.の場合は、徹底的に日本的マネジメントに慣れさせるということです。

 

いずれも、言うは易し行うは難しですが、大きな目標が「ビジネスの成功」であるならば、議論の余地は無いのではないでしょうか。

 

長くなってしまったので、今回はこのぐらいでやめておきます。次回は、特に2.の場合の方法について議論したいと思います。


中国のお正月で感じること

中国の今年の元旦は2/3でした。

いわゆる旧暦で正月を考えます。

2/2~2/8までが法定の正月休みでした。

 

私も2/2に45歳になり、いよいよ身体も言うことを聞かなくなってきました・・・

 

さて、中国のお正月は、大晦日から花火と爆竹の音が絶え間なく響いています。
(瀋陽の5つ星ホテルがこの花火で火災になりました。)

 

そんな中国のお正月は、私が子供の頃に日本で迎えたお正月に近い感じです。
多くのお店が閉まり、都会に出てきた人たちは一斉に実家に戻り、家族や親戚が集まって団欒をする。
キリスト教の国でのクリスマスのようですね。

私はこの習慣を大切にする中国の人たちの感覚に、家族を大事にするというものを強く感じます。

 

日本のように島国で、基本性善説で大体生きていける国と違って、歴史的に常に人と人が争ってきた国だと、
信じられるものが家族とお金という感覚は、非常に理解できるものです。

 

今の日本のお正月は、普段とまったく変わらない印象ですよね。
お店も開いているし、お正月らしい遊びを外で見かけることもなくなりました。
強いてあげれば初詣の場所だけお正月で、あとは日常そのものです。

 

しかしこれからの中国も、少しずつ日本のようなお正月になってしまう予感がします。

コンビニは24時間365日開店していますし、一部のチェーン店はしっかり開店しています。

 

前回のブログでも触れた階層別社会の中で、押し寄せる経済の波が、誰かのその大切にしなければならない時間を奪っていくのかなぁと、
少し悲しい感覚で新年を迎えました。

 

前回、次回は「人」にFocusする予告をしましたが、中国の新年に感じたことになってしまいました。

次回こそ、「人」に関わるお話を。 


中国社会

ここ上海に来て早4ヶ月が過ぎました。

実際に生活してみると、本当にこの国の多様性に驚かされます。

言い換えれば、この国で平均を語ることの無意味さを実感しているということです。

モノの値段一つ取っても、大体日本の1/3程度ですが、例えば車の値段は日本に比して高く(もちろん、同じ車種ならば)、ナンバーを取得するだけで何万元もかかります。

また、トイレットペーパーやティッシュペーパーのような紙類は、日本よりも高いことにも驚かされます。(リサイクルシステムが出来上がっていないのが大きな理由と聞きます)

また家の値段は、上海市内であれば東京のおよそ7~8割程度と、全体が1/3の物価水準と比べると非常に高いのがわかります。

つまり、この国はいわゆる「階層別社会」であって、日本のようなオール中流社会とは大きく異なっているということです。

ニューヨークに行った時の感覚に近く、上流・中流・下流(失礼)の人々ごとに、着るもの、食べるもの、住むところ、使用する交通機関まで異なっている社会のような印象です。

こうした社会を相手にビジネスをするという点で、日本企業が最初に行うべきことは、「誰」を相手に商売をするかを明確にすることではないでしょうか。

例えば大手牛丼チェーンを見てみると、Y家、S家の戦略は全く異なって見えます。

その一旦は価格に現れており、前者の価格は現地の一般の人にしてみると、牛丼という食べ物に比して高く設定されているように感じると思います。一方後者は、現地の一般的な人にも十分受け入れられる価格になっています。

前者のおよそ1/3の価格で提供される後者のお店は、立地という点でもローカルなエリアに積極的に出店され、まさに現地に根ざしてビジネスをする覚悟が見てとれます。

既に多くの日本企業が中国をマーケットとして捉え、そこで大きなビジネスを成し遂げたいと日々奮闘されています。

当然、マーケット調査をしっかりとされた上で進出されていると思いますが、前述したような階層は、極端な話で言えば日々刻々と変化しており、進出時に行った調査そのものが既に古くなっている可能性もあります。

今、パワーを持ってきているのは中流層で、少し古い言葉ですがいわゆるニューリッチ層です。

これらの方々のイメージは、高学歴かつ有名企業で勤務されており、言語も母国語以外にもう一つできるような方です。

これらの方々は流行に敏感で、ネットとの親和性も高く、海外製品に対する憧れを持っています。

日本企業の多くは、こういった方々を対象にビジネスをしたいと思っていらっしゃると思いますが、それは欧米系の企業も全く同じで、最も激戦区であることも事実です。

日本国内で商売するのとは、競合の数・質、顧客の趣味・嗜好等、大きく異なる環境で戦わなければなりません。

もしも皆さんが指揮官で、こういった戦場で戦う場合、どういった戦略や戦術を採用しますか?

少なくとも、戦う兵士に必要な素養はどういったものになるでしょうか?

次回は、実際に戦場で戦う「人」にFocusしてこの議論を広げたいと思います。

 


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